AWS

ホワイトペーパー「クラウド活用による経済成長の実現」から考えるクラウドの経済効果、ロードマップ、社会貢献について

kuni

本記事について

皆様こんにちは。デロイト トーマツ ウェブサービス(DWS)で代表を務めている国本と申します。

この記事はJapan AWS Ambassadorとして参加している『Japan AWS Ambassador Advent Calendar 2022』の6日目のエントリーとなります。

今回は、2022年4月にデロイト トーマツ グループがAWSの協力のもと、発表したホワイトペーパー 『クラウドによる経済成長の実現』 を題材に、AWSを始めとするパブリック・クラウドがもたらす「経済効果への評価」「実用的なロードマップ」そして「日本社会への貢献」について簡単にご紹介します。

1. クラウドサービスによる経済効果について

AWSに代表されるパブリック・クラウドサービスの経済効果は

  1. ビジネス需要に応じたITインフラストラクチャのトータルコスト(TCO)最適化
  2. ビジネスにおける競争優位性にリソース投入が可能

大きくこちらの二つに定義できます。

AWSを始めとしたパブリック・クラウドの大きな特徴として従量課金があり、初期投資の費用が発生しないため、ITインフラストラクチャにおける利用料の最適化が容易です。

また、AWSは世界で広く採用されているセキュリティ管理基準の多くを満たしており、オンプレミス(自社保有サーバーやストレージ、データセンター設備)と比較し、運用を含めたトータルコストの最適化を図ることが可能です。

一例として、日本国内の金融機関では、FISC安全対策基準への準拠が必須となっておりますが、AWSではFISC安全対策基準の更新対応が可能です。

加えて、AWSが展開するグローバルインフラストラクチャは、全世界29の地域(2022年11月現在)でクラウドサービスが展開されており、このエリアの広さと高い応答性を活用することで、国内外の顧客やベンダー、サプライヤーにサービス提供が実現できます。

次に、ビジネス競争優位性に貢献できるリソース割当について触れてみます。

昨今、国内でもデジタル人材、特にエンジニアが枯渇している状況は枚挙にいとまがありませんが、クラウドが持つ汎用性・アクセシビリティは立地を問わないエンジニア人材へのアクセスが可能となっています。

加えて、AWSが運用を担うフルマネージド型のサービスを積極的に活用することで、バックアップやソフトウェアパッチの適用、ハードウェア障害対処などのルーチンワークから解放され、事業の競争優位性に貢献できる開発等に自社の貴重な人的リソースを投入可能です。

結果的に、クラウド導入によるこれらの変化は、国内のデジタル人材・エンジニア市場の柔軟性を高めているとも言えます。

現在日本は、クラウドに有利な国・地域に関する世界ランキングで上位を維持し、グローバルクラウド・サービス・プロバイダー(CSP)による大規模な投資先になっています。

ホワイトペーパーで触れられている通り、BSAが2018年に発表した、Global Cloud Computing Scorecardによると、世界に向けてクラウド事業を典型するのに適している国として、日本は、24カ国中第2位となっており、アジア太平洋地域の中で、クラウドサービスに関する傑出されたハブとして日本が期待されています。

2. クラウドの真価を発揮できるロードマップについて

クラウドの導入・移行についてはビジネスそして自社のIT戦略に適合する形で、活用を検討することが重要です。

ビジネスの現場では「クラウド一択」というシンプルな話は少なく、各企業には既に様々なビジネスが運用されているオンプレミスやプライベートクラウドが稼働している状況です。

加えて、災害対策や既存データーセンターの拡張、バースト時の対処など、様々なユースケースを考慮したクラウド導入モデルが求められます。

そこで、これらの既存のワークロードと、各クラウドサービスが提供するパブリッククラウドを連携させる「ハイブリッド・クラウド」はクラウドの戦略立案において選択肢の幅を広げるという意味で重要な鍵となります。

AWSにおいてもこのようなハイブリッドクラウドをサポートするサービスが数多く展開されており

これらサービス群を戦略的に活用することで、多種多様なアプリケーションを、 必要な場所(クラウド、オンプレミス、エッジ)で実行するためのインフラストラクチャ、サービス、API、ツールを提供しています。

そして、クラウド利用におけるメリットという点で「トータルコストの最適化」というのは大きな期待値の一つです。

クラウド活用におけるコストメリットを最大化する上では、前章でも紹介があったとおり「従量課金」概念への理解が欠かせません。

「必要な時に、必要なリソースを調達し、利用分だけ支払う」不要になれば停止する。ハードウェアを調達する。という概念を捨て、ビジネス実需に即した形でサービスとして利用していく。

これはITシステム全体における総保有コスト最適化に向けて、クラウドが持つ優れた弾力性を活用した高いメリットと言えます。

AWSでは コスト最適化の柱 - AWS Well-Architected フレームワーク が提供されており、クラウドならではの弾力性をフレームワークに沿って活用していくことで、最適化を図ることが可能です。

トータルコストの最適化という観点からも、クラウドへ処理を移管(肩代わり)させる「オフロードが鍵となります。

このオフロードにおいては、単一のクラウドを活用していくのか?もしくはマルチクラウドを採用するのか?によってそれぞれのトレードオフを考えていく必要があります。

単一クラウドへのオフロードを強めることで、IT管理・運用や人材採用・教育の効率化が容易となる反面、他のクラウドへのデーター可搬性が難しくなるケースも有り、いわゆるベンダーロックインを引き起こす要因にもなりえます。

これらのトレードオフを正しく認識した上で、どの領域を自社としてクラウドへオフロードさせるべきか?という戦略を立案・実行していくことが重要です。

クラウドへの「オフロード」を進めるにあたっては、クラウドサービスとの「責任共有モデル」への理解が欠かせません。

責任共有モデルでは、クラウドサービスが提供するグローバルなインフラストラクチャそして基盤サービス郡については、オンプレミス以上のセキュリティが担保されておりますが、これらより上位のレイヤーについては、クラウドサービスを利用する利用者の責務となります。

これらの自社が担保する責任分界点を正しく理解し、ネットワーク、オペレーティング・システム、ミドルウェアや認証・認可、そしてデーターなどに対して適切なセキュリティを実装することが欠かせません。

クラウドサービスによる強固なグローバルセキュリティにアドオンする形で、自社のセキュリティ・ポリシーを設計・実装していく。これらを組み合わせることで、オンプレミス同等以上の運用が可能となります。

クラウド導入モデルの理解、契約を含めたプロセスの改善、そしてテクノロジーの習得を進めることで、クラウドへの適切なオフロードが可能となり、その結果、クラウドの潜在能力である柔軟性、堅牢性、そして俊敏性を最大限ビジネスが享受可能です。

クラウドの潜在能力を引き出したロードマップを描くことで、直接的なコストインパクトはもちろん、グローバルで共通化されたクラウドサービスプロバイダーのテクノロジーとナレッジを活用し、ビジネスのアジリティ向上といったインパクトを生み出すことも可能です。

3. クラウドがもたらす日本社会への貢献

ホワイトペーパーでは、日本がアジア太平洋地域のハブとして期待され、経済産業省も2030年までに最大79万人の雇用創出が見込まれると報告されており、雇用創出という観点でもAWSを始めとしたクラウドサービスがもたらすインパクトの大きさが見て取れます。

今後ますます利用が拡大されるクラウドに関して、日本はこれから社会的なメリットについても正しく理解した上で、本ホワイトペーパーで示されているようなクラウドが持つ柔軟性・俊敏性を活用するためのロードマップに沿ってすすめることによって、アジアのハブになる好機があります。

そのためには

  1. AWSのようなクラウドサービスプロバイダーが展開する幅広いラインアップにアクセスできること
  2. ビジネス需要に沿ったクラウド導入・利用に関する知識と手段に習熟していること
  3. 事前調査・検証とクラウドベストプラクティスに基づく十分な情報に基づいた意思決定を下すこと

が鍵となるのではないでしょうか。

私もJapan AWS Ambassadorの一員として、AWSそしてクラウドサービスを活用した、日本社会への貢献に微力ながら努力してまいりたいと思います!

AUTHOR
kuni
kuni
記事URLをコピーしました