サービスのもたらす価値に着目する 〜 ITIL4に基づいて考える 〜
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はじめに
こんにちは。入社以来初めてブログを書くkuwaです!
初めてのブログということで、簡単に自己紹介をさせてください。
前職でもエンジニアとして働いておりまして、昨年DWSに入社しました。
キャリアや人生に悩んだ末で始めた転職活動の中で、DWSにご縁がありまして、現在は日々やりがいや楽しさを感じながら働いております。ありがとうございます。
そんな私ですが、転職活動中にさまざまな企業様の募集要項を確認している中で、ある気づきを得ました。
現在、私が主に行っている業務に関連するのですが、ITILの考え方ができる人という旨の求人を複数見かけており、その考え方を身につけておいた方がいいんじゃないかと。
これを受けて仕事が忙しい傍ら、志望動機などを考えての寝不足な毎日にITILの参考書を眺め、得られた付け焼き刃で面接に臨んでいました。
結局、転職活動では付け焼き刃のまま終えてしまったのですが、せっかくだから立派な刃にするかと思い立ち、学習を始めました。
足がかりとして、ITILの基礎資格として存在する、ITIL®4 ファンデーションの取得に向けて学習しまして、おおよそ1ヶ月未満程度で達成することができました。
今回はその学習で得た内容を基にして業務においてどう考えているかを整理する内容とします。
※当記事は、あくまで一つの見解です。
ITIL、ITIL4とは
説明もなく、ITILがなんだと言い始めて申し訳ないです。説明します。
ITILはITサービスマネジメント(ITSM)を実現するため、ITサービスの品質向上、中長期的なコストの削減などを目的として実在する企業、サプライヤ、コンサルタントなどからITサービスに関する実際の運営方式やノウハウを収集し、書籍化したものです。ITSMを実現するためのベストプラクティスな考え方をまとめている内容となります。
いくつかのバージョンがありますが、ITIL4は2019年にリリースされた、最新の規格となります。
このITIL4にはさまざまな概念があり、その中にも詳細な考え方があります。しかし、今回ブログを書く上では冗長になりますので必要な部分以外は割愛させていただきます。
はじめに、サービス バリュー システム (SVS)という概念があります。システムは5つの要素によって構成され、価値を創造していることを示しています。
- 従うべき原則
- ガバナンス
- サービスバリュー・チェーン
- プラクティス
- 継続的改善
これらのうち、従うべき原則の説明としては下記が示されています。
従うべき原則は、組織の目標、戦略、業務の種類、管理構造が変化したとしても、あらゆる状況で組織を導くことができる推奨事項です。
引用元:https://peoplecert.jp/ITIL4_c_gp.html
従うべき原則は、汎用的かつ永続的で、組織と個人の障壁を取り除き ITIL 4 のフレームワークの成果を高めます。
記載の通り、従うべき原則は組織や業務の状況を選ばない事項であり、立ち返って参考にできる内容です。
そんな従うべき原則は7つの原則に分かれています。
- 価値に着目する / Focus on Value
- 現状からはじめる / Start where you are
- フィードバックを元に反復して進化する / Progress iteratively with feedback
- 協働し、可視性を高める / Collaborate and promote visibility
- 包括的に考え、取り組む / Think and work holistically
- シンプルにし、実践する / Keep it simple and practical
- 最適化し、自動化する / Optimize and automated
そのうち、「価値に着目する」の説明は下記が示されています。
利害関係者にとっての価値に、それが直接的であろうと間接的であろうと、関連付ける必要があります。
引用元:https://peoplecert.jp/ITIL4_c_gp.html
「価値に着目する」という原則には、顧客とユーザの経験を含む多くの観点が内包されます。
我々がサービスを成立させる際に実施することの目的は、全てサービスによってもたらされる価値に結びつくようにするという考え方になります。
今回はこの「価値に着目する」について掘り下げ、その原則の要素となるものについて考え、内容を整理できればと思います。
価値に着目するについて掘り下げてみる
サービスによってもたらす価値に着目するため、考えられるその要素についてこれから掘り下げていきます。
誰に対する価値の提供なのか
エンジニアが構築するシステム、そこから生じるサービスは作って終わりではありません。
作った後に使用する人間や、関係する利害関係者がいて成り立っています。
サービスによってその方達に対して提供する価値を考える上で、まず、そのサービスを誰が使うのかを明らかにすることは非常に重要であると考えています。
サービスに関わる方々ははっきりとした境界線がないものもありますが、さまざま属性がありそうです。
大きな枠にはなりますが、思いついたのは下記のようなものです。
社会全体で見る
人間の一般的な軸
- 性別や年齢
- 居住する地域や使用言語
- 職業
IT経験の軸
- 全くITサービスに触れていない、触れた経験のない人
- 普段インターネットサイトやSNS、動画等を閲覧するのみの人
- 仕事などで日常的にITサービスを利用している人
- ITエンジニアである人
提供するITサービスの観点で見る
- 該当ITサービスを日常的に利用する特定の部署の人
- 該当ITサービスを自身が必要な時(不定期)に利用する人
例えば、小売店や飲食店での精算時にスマートフォンで決済することは私にとっては日常です。
しかし、その決済の様子を見た母は「何をやっているか全くわからない」と言っていました。
IT経験の軸になるかと思いますが、どちらが良い悪いという話ではなく、このように他者とは異なることがあります。
また、サービスが価値を提供する先が単純に1つの属性のみの人間であることは少ないと思います。
人間の属性が多岐にわたると、属性の異なる彼らがサービスを介してどのように関わっていくかについても目を向ける必要があるかもしれません。
サービスが価値を提供する先を見据え、全体の関係者というのは正確に把握しておくべきだと考えています。
サービスに関わる人が何を必要としているのか
サービスを誰が利用するか確認しました。
そうしたら、その方々がサービスを何を目的として使用するのか、どんなことができるようになって、どのような結果がもたらされるかを考えたいです。
一例にはなりますが、
- 業務効率が上がって生産性が向上した。
- 業務の誤りが減った。
- これまでかかっていた無駄なコストが削減された。
等が挙げられ、これらはサービスを使用することでもたらされる結果、つまり価値そのものです。
サービスを使用することが目的ではなく、サービスは利用者が達成したい目的に向かうための手段であると考えています。
システム上はうまくいっているけれど、サービスとして顧客に価値をもたらせられているのか。
エンジニアとしてサービスを提供するシステムに向き合っていると、この実装がもたらす結果の行き着く先がどんなものであるかを考えることが蔑ろにされているなと感じることがあります。
私もまだまだ経験を積むべきところだと思っていて、最終的にどんな価値をもたらすものか、想像力を養っていきたいところです。
顧客体験
カスタマーエクスペリエンス(CX)とも言われますが、顧客が製品やサービスを認知してから、興味を持ち、購入、利用する一連の体験を表すものです。
製品やサービスを購入したのちのサポートもこのCXに含まれます。
これまで整理した、利用者がどのような人物であるかの観点とサービスを利用して何をするかの観点から、このCXの印象を向上させるための施策を検討するところになります。
例えば、システムで業務内容に基づいてユーザに承認依頼を通知する。
通知するとひとえにいっても、最も業務が効率的に回る内容は何か、通知を受けた時点で最も知りたい情報は何か。
もちろん情報不足は避けながら、かといって情報過多でなく、誤解を招かない明瞭な表現をすべきかと考えています。
また、それらの情報をどのように表示すれば分かりやすいのかといった、表記やレイアウトの観点も考えられそうです。
それらを適切に考慮し、反映した結果、ユーザが理解しやすい内容の通知を受け取ることができ、CXの向上に繋がると考えられます。
システムはあらゆる面で顧客への接点を持ちますが、この通知の面で見ると例えば日常で相手と連絡を取ることにおいても似たようなことが言えそうかと思います。
家族や友人など親しい間柄の方にはついつい大雑把なメッセージを送ってしまう。
その結果、そのメッセージ内容の解釈の違いですれ違ってしまったりなんてことがあります。
コミュニケーションにはいろんな形があると思うので、決してそのような大雑把なメッセージを送るような形を否定しません。
必要な時に相手にとって必要な情報をわかりやすく与えることを考えることで、私たちは人と合流して美味しいご飯を食べに行ったりなんてこともできています。
満足度という観点から逸れましたが、サービスと顧客の関わりを考える上で日常の出来事と通ずるところがあり、受け取る側の感覚を考えるなど、CXの向上に向けて日々鍛えられることもあると考えています。
おわりに
サービスで創出する価値を第一に考えるためには、どのような要素があるかという内容でした。
今回整理した内容に対して、更に考えを深めていきたいと思っているのでいつか振り返ってみて、自身がアップデートされているかは確認したいです。
以上です。ご一読いただき、感謝いたします。
参考資料
https://peoplecert.jp/ITIL4_c_gp.html