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内製化の新しい概念「共創」でSIerとエンジニアの価値を爆上げする

tecchan

デロイト トーマツ ウェブサービス エンジニアの安木です。

当社デロイト トーマツ ウェブサービス株式会社では、AWSの「内製化支援パートナー」の認定を受けており、企業の内製化を支援しております。

2023年7月に、その知見を広めるべく「【開発をより早く】内製化実現のための社内カルチャー変革の成功ポイント」を開催いたしました。100名以上の方から申し込みがあり、また多数の質問もお寄せいただき大盛況となりました。ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。

さて、このウェビナーでは主に事業会社様の内製化を事例として扱いましたが、参加者の中には大手SIerに所属されている方も多く見受けられました。私自身も元々大手SIerで5年間勤務をしており、何度か会社の内製化の取り組みに参加することもありましたが、なかなかうまく行かない経験がありました。

SIerでもこのように内製化に取り組んでいる企業は多くあり、多重下請け構造に課題を感じ脱却に挑戦をしているものと存じております。私がDWSへ入社し内製化支援のサービスを聞いたときに、このようなSIerの内製化支援の悩みも解決できることに気が付きました。そして、このナレッジを広めたいと思いました。

そこでこのブログ記事では、ウェビナーの内容をよりSIerに特化した形でご紹介いたします。そして、SIerの企業の皆様の内製化の一助となれば幸いに存じます。

本記事の想定読者

  • SIer(主に多重下請け構造の一次請け)
  • お客様からリリース頻度の向上を求められている
  • 開発を内製化したいが、二次請け以降の開発ベンダーのスキルを吸収できない

開発スピードの向上が求められている背景と内製化の必要性

まず、なぜ内製化が求められているのかを改めて確認します。昨今、環境の変化がどんどん早くなっており、ビジネスのスピードも加速しています。そして今やビジネスの核とも言えるITの分野にも速さが求められるようになり、特にリリース頻度の向上が求められるようになりました。

一方で、日本国内では多くの企業がSIerにIT領域を丸投げしています。そして、その外部委託がさらに二次請け、三次請けへと再委託されていきます。この構造により事業の核となるITの部分に対して事業会社から適切な要望を伝えることができず、SIerはそれに応えるシステムしか作ることができません。その結果、ITの力を最大限に活用できないプロダクトや開発体制が横行しています。これではお客様のニーズに正確に答えたり、顧客の期待を超える製品を生み出すことができません。

そこでビジネスとITを一体化させ、上流工程でも事業の核となるITを正しく理解し、ITを最大限に活用することでビジネスの価値の最大化と、スピードの加速をさせる必要があります。そこで出てくるのが内製化という概念です。

「ビジネスとITの一体化 = 事業会社がITを理解、コントロールする = 内製化」

内製化により「開発サイクルの高速化」や「製品価値の最大化」が可能となります。このような背景から、現代のIT業界では内製化が求められています。

内製化の課題

しかしいざ内製化を実施しようとしても、いきなり外部委託をすべてストップして社内のリソースで開発を行うことは不可能です。

私の前職でも内製化をしようという動きがあり、強制的に外部委託が止められたことがあります。しかし、社内にシステムに関するプログラムレベルのノウハウがなく、また設計書も整備されていませんでした。引き継ぎのために、外部委託業者から最低限の保守運用マニュアルだけを作成してもらうことで、ウイルススキャン等の定形作業だけはできるようになりました。しかし、プログラムレベルでの引き継ぎはできず表面的にしか理解していないので、簡単な保守改修すらできない体制になってしまいました。この結果、ビジネスの加速どころか、現状維持すら困難になり、本末転倒になってしまいました。

このように「ビジネスとITの一体化 → 内製化」を一気に実現するのは現実的には難しいものとなっております。こういったところに、内製化実現の課題があります。

共創という概念

そこで我々が提供しているソリューションが「共創」という概念です。

先述の通り、いきなり外部委託をストップしても内製化は上手くいきません。そこで、外部委託をストップするのではなく、距離を近づけて「共創」を行います。

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これによりビジネスとITの一体化が促進され、自社でITを理解できるようになり、外部委託先はビジネスを理解して開発を行う事ができるようになります。完全に内製化せずとも、ビジネスとITの距離を近づけることで内製化で得られる利点であるITの理解、ビジネススピードの向上を成し遂げる事が可能となります。

そこから自社で完全に内製化するのか、外部委託を維持して共創を続けるのかは企業ごとの判断になりますが、いずれにせよ丸投げよりもビジネスの質は格段に向上します。

伴走支援という概念

しかし、外部委託のストップと同様に、外部委託業者との距離を近づけて発注元でもITを正しく理解するというのは難しいです。そこで出てくる概念が「伴走支援」です。

先出の図の真ん中の体制に「伴走型支援・混合」というワードがあります。ここで自社と外部委託業者とのコミュニケーション、スキルトランスファーを円滑に進めるために当社の支援が入ります。これにより、内製化の一番の課題である外部委託業者にノウハウやナレッジが依存している状態を脱却することが可能になります。

実際に伴走支援でやっていることの一例は以下のとおりです。

  • マネージャー層に対して、経験豊富なコンサルタントからコンサルティングを行う。
  • 未経験レベルのエンジニアに対して、1日8時間ずっとペアプログラミングを行う。
  • お客様の会社組織そのものに対して、カルチャーが変わるまで徹底的に働きかけ続ける。

内製化を実現するための方法は組織によって様々です。当社の経験豊富なコンサルタントや技術力に特化したエンジニアだからこそ、状況に応じた支援が可能となります。

SIerとエンジニアの市場価値の向上

これまで紹介してきた「共創」により、内製化と同様の「開発サイクルの高速化」や「製品価値の最大化」というメリットを享受することが可能となります。これにより顧客の満足度を高めるだけでなく、SIer組織自体の価値を上げることにも繋がります。上流工程で先端ITの視点からお客様にアドバイスができるSIerは、IT丸投げを受託するSIerよりも市場価値が高くなります。なぜなら、その分だけお客様に価値を提供することが可能になるからです。

また、SIerに所属するエンジニア自身の価値も高める事が可能になります。これは上記と同様に、上流工程で先端ITの視点からお客様にアドバイスができるエンジニアは、IT丸投げを受託するエンジニアよりも市場価値が高くなります。

このように、共創の実現により、お客様への価値提供の最大化に加え、SIerとエンジニアの市場価値を上昇させるが可能となります。

まとめ

外部委託を完全にストップさせることで「開発サイクルの高速化」や「製品価値の最大化」が可能となります。しかし、いきなりこれを実現するのは難しく、そのため多くの企業が内製化に悩んでいることと存じます。

当社の提案する共創の実現により、内製化と同様の効果を得ることが可能となります。共創に興味をお持ちいただいた方、およびそのような環境で働いてみたいと思った方は、簡単なディスカッションからでも可能ですので、お気軽に当社までお問い合わせください。

また、8/23(水)、8/30(水)にそれぞれ内製化、DevOpsの技術を紹介する無料のオンラインイベントを開催しております。ご興味があればそちらにもお気軽にご参加くださいませ。

AUTHOR
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プロジェクトリード / スクラムマスター / エンジニア
金融業界のSIerにて5年間勤務。大小様々な規模の案件にてプロジェクトマネジメントを経験後2022年5月にDWSへ入社。最先端の技術を用いる開発業務を担当。最近では先端技術への理解とマネジメントの経験を活かし、スクラムマスターとして案件を推進。AWS認定資格全12種取得。認定スクラムマスターPSMⅡ取得。
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