エンジニアに求められるコミュニケーションスキルを真剣に考えてみる
こんにちは!
家族旅行に両親のお金で参加する、残念極まるアラサーこまっちゃんです。
家族の好意には食い気味に甘える一方塩対応で返す酷い人間ですが、幸いにも仕事では、言葉遣いやメンバーへの配慮が適切だとコメントをいただいています。今後もメンバーを失望させないよう、努力を重ねたいと思います…!(家族にも優しくしましょう)
ということで、今回はエンジニアとして働く上で必要と感じたコミュニケーションスキルについて、改めて考えてみたいと思います!
エンジニアにコミュニケーション能力は必要?
そもそも、エンジニアにコミュニケーション能力は必要なのでしょうか?
エンジニアになる前の私のイメージは、「エンジニアは基本パソコンに向かって作業することが多い」というイメージでした。
しかし、実際入社してみると、そんなことはありませんでした。当社ではアジャイル開発による開発を行うケースが多い他、運用も請け負っているため、クライアントとエンジニアが直接対話したり、メールやチャットでやり取りをしたりする場面が数多くあります。相手の要望を正確に汲み取り、時には会話の中から引き出し、より質の高いサービスを提供するためのヒントを自ら手に入れていくことは、入社後感じた唯一のギャップだったかもしれません。実際、
- 現状の共有
- 課題の共有や相談
- 実装イメージの正確な伝達
- 会議や実装スケジュールの調整
- 契約書の作成・変更
など、社内外・チーム内外問わず他の人と関わる機会は恒常的に発生しています。
円滑なコミュニケーションに向けた課題
コミュニケーション力が求められる一方、エンジニアが円滑なコミュニケーションを行う上で、課題となる点も数多くあります。特に、新卒の方や顧客対応を行なった経験の少ない方は、以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?
- スケジュール調整など、マネジメント業務の経験がない・少ない
- どんなメールを送れば顧客のニーズを引き出せるのかわからない
- どんな切り口で提案したらいいのかわからない
- ベースがリモート勤務であり、社内メンバーと対面する機会がほぼない
- 作業に没頭した結果、ホウレンソウを怠ってしまったり連絡に気が付かず怒らせてしまった
- 納期が迫るなど、心の余裕が無くなってきた時に、他チームメンバーやクライアントに対して十分な配慮ができなくなってしまうことがある
ということで、ここからは社外・社内別に、私なりのコミュニケーション術をご紹介していきたいと思います。
社外の方とのコミュニケーションに対する提案
話しかけやすい雰囲気を作る
基本として、挨拶ははっきりとした口調で行っています。当社はフルリモート勤務をしている方が多く、その場合直接社外の方とお会いする機会は少ないです。しかし、だからこそ打ち合わせでは「よろしくお願いいたします」とハキハキ挨拶を行うよう心がけています。
また、状況に応じてビデオをONにすることもあります。最初は少々恥ずかしかったのですが、やはり挨拶や表情をお見せすることは、信頼感を構築する一歩のように感じています。
その他にも、ちょっとしたことであっても「ありがとうございます!」とお礼を伝えることも大切にしています。
会議の前にメンバーが揃うまでに時間がかかるならば、ちょっとした世間話をすることもおすすめです。柔らかい表情や笑顔を意識して、オープンな雰囲気を出すことができると、相手も気を許してくださる印象です。また、これはあるメンバーが行っていて素敵だと思ったのですが、相手が知りたがっている、興味のあるネタなどを伝えられると、相手からの信頼をより得ることができると感じました。
相手に関心を持つ
個人的にはこの意識が最も重要ではないかと思っています。相手がどんな人なのか、何に興味があるのか、どんな課題を持っているのかなど、相手に対する興味を持って接することはとても大切です。
挨拶や仕事に関する会話をしながら、どんな人かキャラクターを探っていきます。例えば、資料作りをする上では、以下のように工夫することが可能になります。
- 資料は簡潔で読みやすい最低限の内容にしたり、今絶対に検討しなければならない内容に絞る
- 情報に加えて、自分なりの結論と提案を添えて検討しやすくする
- その他必要な情報については、メール等で別で送っておく
- 背景や意図を論理立てて記載し、納得してもらいやすくする
- 説明の機会を増やして、相手の疑問点を盛り込んだ資料を都度提供する
- 説明用の補足資料を多めに準備しておく
- IT関係の用語を使わず、簡単な表現にする
- 図を多くしたり、製品開発を行う場合はデモンストレーションを早期に行うことで、視覚的にわかりやすくする
また、チームの朝会・夕会等がある場合、どう対応すべきか話し合うのもおすすめです。良かった対応や相手に悪印象を与えてしまった対応をメンバー間で共有し合うのも良いですね。自分では気が付かなかった相手の性格や持っている課題、アプローチ方法を見つけることができます。
当社では、esaというドキュメントツールを使っていて、しくじり話や対応策をまとめたり、発表する取り組みをしています。また、私の所属するSREチームでは、クライアントとのコミュニケーションをする上で知っておくべきポイントなどを、プロジェクト別に共有しています。
相手の話を否定せず傾聴する
その他、「相手の話をしっかり聞く」ことも大切です。
自分が話をしている時、途中で遮られたり、否定されたりしたらどんな気持ちになるでしょうか?きつい言葉で指摘を返されたら?場合によっては、「話を聞いてもらえない」「話しても否定される」と心を閉ざしてしまうケースもあるかもしれません。
もちろん、相手の要望を全て呑むことはできませんが、まずは話を最初から最後まで、可能なら相槌などを入れつつ聞くことをお勧めします。話をよく聞いてみると、相手の要望をもっと簡単な形で叶えることができるかもしれませんし、本当の課題は別にあるのでは?など検討する材料を広く入手することもできます。
何より、私だったら相手が自分の話を否定せず聞いてくれると嬉しいですし、安心します。「この人になら話せる」と信頼いただくこと、それこそコミュニケーションを取る上で大切なことだと思います。
(おまけ)会話を事前にシミュレーションする
こちらはある程度相手のキャラクターや状況を把握できた後におすすめの対応です。会議やプレゼン、提案など事前に話す内容が決まっている場合に行うのが良いかと思います。
こう伝えた場合にどんな言葉が返ってくるか、その場合何を返すか、など複数のやり取りパターンを事前に検討しておきます。「最終的にこの結論に落ち着くとお互いにとって一番よい」と思われる内容に会話を落とし込むには、どう話を切り出し、どう返答していくのが良いか一生懸命考えています。
もちろん、対話で重要なのは相手の意図を正しく理解することであって、パターンに当てはめることではありません。とはいえ、私はコミュニケーションがあまり得意ではないので、相手の話をより早く冷静に理解できるよう、パターンの想定を行っています。
社内メンバーとのコミュニケーションに対する提案
次に、社内メンバーとのコミュニケーションについて考えてみます。私は、社外と同等またはそれ以上に、社内メンバーとのやりとりに対する配慮が重要だと思っています。関わる時間は長いメンバー同士、互いに気持ちよく、最高のパフォーマンスを出して働くことが一番だと考えているためです。
また、当社では全社員が顔を合わせる機会はほとんどありません。顔を合わせないけれどもチャットを通じて身近に感じる存在というのは、SNSで起こりがちな「傷つける意図はなかったし、そんなに傷つくなんて思わなかった」「傷ついたことを言ったらどうなるだろう」「あまり良くない書き込みを見かけてモヤモヤするけど言い出しにくい」という現象がいつでも起こり得るように思うのです。
そんな社内でのコミュニケーションで、私が行なっていることを書いてみます。
チャットでは絵文字を使うようにする
メインのコミュニケーションツールがSlackである当社のコミュニケーション原則には、次の記載があります。
チャットでは絵文字やリアクションなど積極的に使い、感情を表現していきましょう。チャットでは感情が見えづらく冷たい印象になりがちなので、冷たい印象にならないよう配慮しましょう。
私はあまりにたくさんの絵文字を使用すると読みにくくなる気がして、要所要所に入れる程度に留めているのですが、代わりに語尾を柔らかくしたり、「!」や「〜」といった砕けた表現を敢えて使用して、感情を表現するように心がけています。
提案をする時はワンクッション入れてから
相手の話を傾聴する重要性については、前述の通りです。その相手の話に対して他のアイディアや提案がある場合にどのように伝えるべきかは、いつも悩むポイントです。私の場合は、常に発言後の相手の反応を想像しながら、慎重に伝えています。
- 「そのアイディアも素晴らしいですが、こうしたらもっと良くなるかもです」
- 「ありがとうございます。その場合、こういったリスクもありませんか?」
- 「そうですね。ただ、ここは個人的には〜〜としても良い気もするのですが、どうでしょう?」
など、ワンクッション入れよう意識しています。特に、議論に集中すると発言に対するお礼や肯定的な相槌よりも先にズバッと質問してしまうことも多いので、毎日修行中です。
ミスはすぐに謝り、適宜メンバーに相談する
私は昔から家族や友人から「言葉遣いがキツい」「毒舌」と言われるタイプで、もっといい言い方が出来たなぁと反省する場面は本当に数多くあり…。
焦りでつい鋭い雰囲気で業務の進捗を質問した結果、メンバーから「その聞き方は、仕事をしていないと否定されているように感じる」と言われてしまったことがあります。その場で自分の言い方が厳しかったことに思い至り謝罪しましたが、さらにチームリーダーに1on1を申し込んで今後の自分の対応について相談しました。
結果、やはり言い方に課題があったのではという結論に至ったので、その日の夕会で、改めて自分の対応の説明と相手への謝罪を、チームメンバー全員の前で行いました。個人間の問題もひいてはチームの問題と考えたためですが、正直すごく勇気が必要でした。
しかし、ありがたいことに皆から好意的な反応をいただくことができ、その後もチームで安心して働くことができています。この件を機に、発言前に一旦立ち止まって考えることをより意識的に行うようになりました。
誰も完璧な人なんていない
しかし、どれだけコミュニケーションを意識しても、完璧な人間というのは存在しません。究極のところ、相手を尊重する姿勢が一番大切なのではないか、と最近は感じます。
誰しもコミュニケーションの癖があり、特に納期や忙しさ、プライベートの変化などにより、癖が大きく出てしまうことはあり得ます。そんな人に心無い言葉を言われたとして、「直して欲しい」「傷ついた」と伝えることはできますが、今伝えるべき言葉は本当にその言葉なのか、一旦立ち止まって考えることを忘れないようにしたいです。
もちろん気持ちを伝えることは大切ですが、相手に変わってもらうだけでなく、自分にできることは無いでしょうか?
- このタスクをもらったら、負担が減って心の余裕が出るかも!
- 今はこういう状況だから、心無い言葉が出てしまったのかもしれない
- チームの課題として、皆で話し合ってみるのはどうだろう
など、相手をより深く知り、寄り添う努力もぜひ行なっていきたいものです。
結局、ひとりで仕事はできません。完璧なコミュニケーションも存在せず、互いにより良い関係を手探りで作り上げることしかできません。社外の方に対するコミュニケーションを考える際も記載しましたが、相手に興味を持って接することは、本当に大切にしたい視点だと思います。
さいごに
いかがでしたでしょうか。最後は少々自分語りになってしまった気がして恥ずかしいのですが、以上が自分なりに心がけているコミュニケーションです。こうして見てみると、エンジニア特有のコミュニケーションスキルというものは無く、一般的なものが多いように思いますね。
当社でも、人数が増えたり案件が増えたりする中で、コミュニケーションの課題について度々議題に上がっています。正解はありませんが、皆で考えることを諦めず、より良い方法を模索し続けていけたらと思います!