働く母と「小一の壁」
先月、長女のランドセルを注文しました。届くのは、冬になりそうです。
“老舗工房系”とカテゴライズされるお店で、すでに8割以上のモデルが完売。
ランドセルが売れる時期が年々早くなっているそうで、7月で受付終了してしまったお店もありました。
ランドセル選びが終わったところで、入学に向けてやることが、まだたくさん残っています。
就学児健診、予防接種、学校説明会、学童保育の説明会、学習机と子供部屋の構成をどうするか・・・などなど。
しかし、子供が入学した後、共働きの親(主に母)には、今以上に、いわゆる「小一の壁」と呼ばれる様々な困難が待ち受けています。
そして、仕事と子育ての両立が難しくなり、仕事を辞めてしまうお母さんも多いのです。
保育園時代と小学校入学後の違い
保育園時代は、手厚く長い時間、保育園で面倒を見てもらえ、短時間勤務などの制度も利用できましたが、小学校入学後は、それらが一気に手薄になるのです。
私が前職を辞めて弊社に移ったのも、その辺りの理由が大きいです。
保育園時代と小学校入学後の違い、また、リモートワーク(在宅勤務)になったことで解決できたか、できそうかといったところをまとめてみます。
小学校の実情は、まだよく分からない部分も多いので、一般に言われていることを挙げます。
保育園 | 小学校 | リモートワークで解決? | |
---|---|---|---|
保育時間 | 7時前後〜18時前後 | 放課後〜18時頃、長期休暇中は8時半頃から | ○ 残業していても、基本在宅しているので、留守番させずに済む |
長期休暇 | なし。年末年始の休みのみ。 | 夏休み、冬休みなどは学童保育へ。お弁当が必要。 | △ 保育時間の開始が多少遅くても、家から見送ることが可能。お弁当は工夫と根性で。 |
職場の子育て制度 | 短時間勤務や残業免除が利用できるところも。 | 短時間勤務が適用とならず、フルタイム残業ありとなってしまう。 | ○ フルタイムで残業があっても、子供を自宅で迎えられる。一旦仕事の手を止めて、家事が片付いてから残務処理も可能。 |
父母会・PTA | 役員の集まりが月1回、土曜日の午後。集まりがない月も。父母会がない保育園もある。 | 役員の集まりは、基本平日の日中。学校によっては、朝の旗振り当番などもあるらしい。 | △ 時間帯や所要時間によっては、仕事に支障を来さずに参加可能。平日昼間に集められて、ダラダラ活動されるのは困る。 |
帰宅後にやること | 基本的に、なし。 | 宿題をみたり、翌日の持ち物を揃えたりと、初めのうちは手助けが必要。 | × そのまま負担が増えるだけ。だんだん一人でできるようになると、負担も減ってくる。 |
行事 | 基本、土日のみ。参観は少人数に分けて行うため、都合のいい日を選びやすい。 | 平日の行事や参観、面談も。 | △ PTA同様、短時間であれば、一旦抜けて後で穴埋めも可能。早めに予定を把握して、タスクの管理・調整をしっかり行う。 |
臨時休校・学級閉鎖 | これまでの6年間、1度もなし(大震災時も通常保育でした) | インフルエンザの流行などで学級閉鎖になることも。 | ○ 子供が自宅にいては、仕事に集中しにくいが、預け先がなくて仕事を休むということは避けられる。 |
「小一の壁」を崩すには
共働きと言っても、家庭によってそれぞれ状況は異なるので、十把一絡げというわけにはいきません。
実家が近く、手助けが得られるのであれば、壁は低くなりますし、シングルマザーにとっての壁は、高く厚いものになるでしょう。
先進国で、女性の就業率が高く、出生率も高い国では、子育てしやすい環境が整っているほか、子育てに対する社会全体の意識や理解がかなり進んでいるようです。
個人的な意見や希望になってしまいますが、「小一の壁」を崩していくには、どんなことが必要かを挙げてみます。
- 法定労働時間を短縮する(フランス並みに週35時間とか)。
- 長時間労働を評価せず、時間内の生産性を評価する。
- 手頃な料金で、安心して子供を預けられる場所や制度の充実。
- PTAは簡略化し、負担を減らす。または、なくしてしまう。
- 学校行事は最低限に止める。
- 在宅勤務制度の普及。
- 長期休暇中の学童保育の昼食を、業者のお弁当を導入するなどして負担を減らす。(利用する学童保育にもよりますが、実際に働きかけてみたいと思っています)
- 社会全体の意識を変えていく。「男は仕事、女は家庭」ではなく、男性も家庭責任を負う義務があり、女性も社会人としての義務を果たすべき(もちろん、各家庭の事情に応じる必要はあり)。子持ち男性が、子供の病気や行事で休んだり早退するのは当然とされる社会。
- 母親に対する過度な期待をなくす(手作りグッズ、キャラ弁、片付いた室内などを当たり前と思わない。働いてたら手抜きで当然)。
多少の努力で実現できそうなこと、難しいこと、数十年単位で時間がかかりそうなことなど様々ですが、中でも一番必要でありながら難しいのは、社会全体の意識改革だと思います。
父親も家庭責任が果たしやすく、母親が仕事を続けられる社会に、早く変わっていって欲しいと願っています。
とりあえずは、目の前で山積みになっていることをがんばって片付けて、自分の壁をどう切り崩すか考え、実行していきたいところです。