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AWS Jamって何? 〜AWS Ambassador/Japan Top Engineer向け体験会に参加してきました〜

sho

はじめに

西藤です。

デロイト トーマツ ウェブサービス株式会社(DWS)では、デロイト トーマツグループで一括調達したAWS Skill Builderのトレーニングを受講できます。(対象者のみ)

AWS Skill Builderは、オンラインでさまざまなトレーニングを受講できるE-learningのサービスですが、その中には「AWS Jam」というコンテンツがあります。

AWS Jamの存在は知っていたのですが、実際に体験したことがなく、一度体験しておきたいと思っていました。

今回、AWSの目黒本社にてAWS Ambassador/Japan Top Engineerに向けた「AWS Jam」の体験会が開催されると知り、参加することができましたのでそこから得られたAWS Jamに関する気づきなどをレポートします。

AWS JamとAWS GameDay

まず、そもそもAWS Jamとはなんでしょうか?

公式による解説には以下のようにあります。

AWS Jam では、個人やチームが AWS クラウドのスキルを応用し、AWS サービスを利用して現実世界のオープンエンドの問題を解決することが求められます。ゲーム型学習環境で作業します。これは、AWS マネジメントコンソールサンドボックスでシミュレートされたユースケースを通じて AWS クラウドのスキルを習得するのに役立ちます。技術ドメインや職種、および難易度別に課題を選択します。必要に応じて、課題の解決に役立つヒントが用意されています。
https://aws.amazon.com/jp/training/digital/aws-jam/

つまり、シナリオに沿ってAWSマネジメントコンソールから課題を解決していくコンテンツのようですね。
ゲーム型学習環境で作業する・・・あれ、AWSにはGameDayというのもありましたよね。何が違うのでしょうか。
そちらの説明も見てみましょう。

AWS GameDay は、チームベースの環境で、AWS ソリューションを利用して現実世界の技術的問題を解決することを参加者に課題として提示する、ゲーム化された学習イベントです。従来のワークショップとは異なり、GameDay は自由で緩やかな形式で、参加者は固定概念にとらわれずに探索し、考えることができます。
https://aws.amazon.com/jp/gameday/

なるほどどちらもゲーム的に学習するようですね。

今回、AWS Jamの体験会に参加したことでGameDayとは違いが分かりましたので、それをご紹介します。

なお、今回の体験会イベントの内容はネタバレ禁止ということで、出題されていた内容に触れることはできませんが、その中でも感じたことなどをご紹介できたらと思います。

GameDayと比較した課題解決の対象の違い

シナリオはさまざまバリエーションはあるのですが、GameDayはとある特定のシナリオに沿って、半日なりのイベントを通じて課題を解決していくパターンのものが多いです。

たとえば、とある架空の会社のエンジニアとして次々に発生する課題に対して、AWSのサービスを使って解決していく、など。

一方で、AWS JamはGameDayと比べると比較的短い時間で解決できる「チャレンジ」が複数準備されており、その中から解きたいもの選んで取り組む形式です。

「チャレンジ」にも難易度があり、Easy, Medium, Hardと3つの難易度が用意されています。
目安としては

  • EasyがAWS認定Solutions Architect - Associate取得かつ実務での経験があればノーヒントで可能性可能性あり
  • MediumがAWS認定Solutions Architect - Professional取得かつ実務での経験もさまざま経験していればノーヒントで解ける可能性あり
  • Hardは特定ケースにおける経験と幅広い知識が必要で、単独ノーヒントは難しい可能性あり

という具合とのことです。

それぞれのチャレンジは独立したシナリオになっており、好きな順番で着手ができます。

「設問の名前からして得意そう」もよし、「これは触ったことのないサービスに言及しているから挑戦してみよう」もよし、という感じで選ぶことができます。

「チャレンジ」の構成

そして、チャレンジを開くと以下のような構成になっていました。

チャレンジの詳細

そのチャレンジの背景と課題が説明されています。

GameDayほどの長いシナリオではないですが、仮想のシナリオが示されておりソリューションアーキテクト的観点で発生している問題とその原因を想像しながらタスクの解決に取り組みます。

AWS認定試験の設問での舞台設定をイメージするとわかりやすいかもしれません。

タスク

具体的にAWSのサービスを使って解決するべきタスクが示されています。

操作そのものが示されているわけではなく、実現したいことが示されているので、それをどうやって実現するかを考える必要があります。

手がかり(clue)

難易度によっては、タスクの説明書きを見るだけでやるべきことがすぐにわかるものもあるかもしれませんが、難しい場合は手がかり(clue)を開くことができます。ヒントのことですね。

段階を追って手助けの具合が増していき、最終的に全部のヒントを解放した際には、もはや行うべき操作が書いてある手順書のような状態になっています。
(実質的に「AWSハンズオンラボ」のガイドと言えるでしょう)

ヒントを開くことで、タスク完了時に得られるスコアが減ってしまいますが、制限時間内に解決できないことで得点を得られないよりは、ヒントを見てでも解決して得点を稼ぎ他のチーム・参加者よりも高いスコアを目指すのも作戦のうちでしょう。

体験してみての感想と社内への活用の考察

さて、今回の体験会に参加して感じたことはいくつかあります。

サンドボックス環境の安心感

まず初めに感動したのは各チャレンジごとに用意されているAWSマネジメントコンソールのサンドボックス環境です。

環境立ち上げのためにいくらかの時間はかかりましたが、そこで構築された環境は各チャレンジごとにカスタマイズ済みになっており、そのチャレンジの設問に沿った形でAWSのサービスが設定されています。

さらに操作権限も設問にあった形に設定されており、設問に関係のない操作はできないようになっていました。

これにより、利用者が誤って設問と無関係な操作をしてしまい、回答できなくなるという事態を防止できていると感じました。(体験した限りではかなり緻密に操作防止が設定されているように見えました。)

AWS初学者だと「誤って操作して環境を壊してしまうのが怖い」という恐怖心があるものかと思いますが、AWS Jam用の専用のサンドボックスであり、的外れな操作をしようとしても防止されるので、安心して取り組むことができるというのは大きなメリットだと感じました。

やはり、AWSの知識は実践を通じて深められるため、このようなサンドボックス環境は非常に有用だと感じました。

自社開催する際に初学者の参加者が多い場合は、「サンドボックス環境内で変な操作しても防がれるようになっているし、防ぎきれなかったとしてもサンドボックス内にしか影響せず、自社のビジネスには一切影響しないので、積極的に触ってほしい」と言いながら積極的にAWSマネジメントコンソールを触ってもらい慣れ親しんでいただくのを促すのが良いでしょう。

回答のスムーズさ

次に感じたのは各チャレンジのタスク回答のスムーズさです。

上記のように専用のサンドボックス環境内で操作していくことでタスクの完了を目指すのですが、タスクの完了状況の判定(Validation)は

  • 自動
  • 手動
  • 回答を送信

の3タイプあり、タスクによって異なります。

その中でも自動で判定されるものがすごいなと思いました。
チャレンジごとに提供されているサンドボックス内での操作を終えて、それが正しい操作だった場合は自動でタスク完了となり、スコアが加算されました。

AWS Jamの画面とサンドボックス環境がうまく統合されている良さがよく出ている体験でした。

設問のバリエーション

今回はEasy, Medium, Hardの3つの難易度で合計13のチャレンジが用意されていましたが、その中にはさまざまなサービスを使った設問が含まれていました。

この13のチャレンジは、100を超える全リストの中から今回のイベントのホストの方が選定されたそうです。

もし、AWS Jamを自組織で実施する場合は、大変かもしれませんが参加者のレベルに合わせて選定していくことで、効果的にAWSのスキルを向上させることができるのではないかと感じました。

今回のようにAmbassador / Top Engineerのような一定の経験を持った参加者であれば、Easy, Medium, Hardをバランス良く出題するとよいでしょう。
また、初学者向けのイベントであればEasyのみで構成するといったこともできるでしょう。

ある意味イベント主催者の腕の見せ所ですね。

チーム構成と取り組み方

今回の体験会では、チーム戦形式が取られていました。
チームは3〜4人で構成し、必ず異なる会社の人と組むように推奨されており、良い交流の場にもなっていたと思います。

また、3〜4人のチームですが手分けしてチャレンジに取り組むことを禁止する「モブ」形式での実施でした。
1人がPCでの操作を行い、その様子はチームごとの机に設けられたモニターに画面共有し、他のメンバーがアドバイスを出す、という形で進めていきました。

得点を競う上では各々が手分けして、課題を解いて行った方が効率がいいかもしれません。(とくに今回はAmbassadorやTop Engineerなどの一定の経験者が集う体験会でしたので。)
しかし、それでは「触ったことなかった機能に触れることができる」などの良問だったときに、それに接する機会を逃してしまうのはもったいないです。

また、スキルに差がある場合、「モブ」形式を取ることで、経験者が初学者にアドバイスを出し、初学者はアドバイスに沿って操作を行うことでスキルアップに繋がるというメリットもあります。「教えることで学びにもつながる」ということもあり経験者にとっても有益な体験になるのではないでしょうか。

自社開催の際には、参加者の経験を考慮して初学者と中・上級者をチームにバランスよく混ぜるなどして全体としての学びを底上げできるようなチーム割りなどを工夫すると良いでしょう。

モチベーション維持の工夫

また、今回の体験会でアイディアだなと思ったのが、結果発表の仕方です。

これはAWS Jam自体の特徴ではなく、今回の体験会の進行をされていたAWS様のホストの方の工夫でしたが、景品の出し方です。

今回、上位チームにはノベルティのプレゼントが用意されていましたが、そのほかにもイベント終盤の30分間でのスコアの伸びを見て、その間にもっともスコアを伸ばしたチームにも景品が用意されていました。

これはコンテンツの特性上、終盤になるとスコアが伸び悩んでしまったチームが「もう入賞は無理だ」と諦めてしまうのを防ぐ工夫だそうです。


AWS Jam自体の機能ではなくホストの方が手動で力技で?得点集計されていて、その様子も面白かったのですが、Jamイベントを自組織内で実施した際にイベントを盛り上げるための工夫として参考になるアイディアだなと思いました。

まとめ

以上、AWS Jamの体験会に参加して感じたことをご紹介しました。

ネタバレ防止のため具体的な設問内容は控えますが、ぜひ多くの人に経験してもらいたいコンテンツでした。

今回のようにAWS様主催の会に参加することも可能ですが、自組織内での実施をぜひ行いたいと思いました。(ちなみにAWS Jamの画面内にチーム内でチャットができる機能があったのですが、自動的に翻訳がされるようになっていたので、グローバルな参加者になったとしても障壁なくチームを組めるような工夫かもしれませんね)

難易度のバランスやモチベーション維持の工夫、開催方式など検討すべき点は多くありそうですが、せっかくSkill Builderが導入されているので、参加者を集めて一度AWS Jamを社内開催してみたいと思います。
(社内開催できた時には、またレポートを書きたいと思います。)

なお、英語にはなりますがAWS公式のtwitchチャンネルにてAWS Jamを紹介していた回のビデオがありましたので、ぜひそちらも参考にしてみてください。実際のAWS Jamの画面も見れてイメージが湧くと思います。(末尾の「参考資料」に記載)

本記事が、AWS Jamを知らなかった人にとって興味を持つきっかけとなり、自組織でのAWSのトレーニングコンテンツを検討する際の参考になれば幸いです。

参考資料

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