ブラジルで時差のあるリモートワーク
概要
高校の時からの良き友人がブラジルにいるのと、オリンピックということもあり、8月の間、ブラジルリオで生活していた。1ヶ月の間、3週間はリモートワークをしていたので、その際に気をつけたことというか、やったことを書こうと思う。
事前に働き方を共有
ブラジルに行く前に、事前にどのような働き方(勤務時間や場所など)をするのかを共有した。共有したことは以下のようなものだ。
- 時差への対策
- ネット環境
- MTGへの参加可否
- 防犯対策
特に、ブラジルはなんといっても、時差が12時間あるため、そこをどう工夫するかが1番の課題だったと思う。そのため、主に時差への対策がメインの内容となった。ひとつひとつ、実際にやったことを見ていこうと思う。
時差への対策
時差の対策として、5つの方法を提案し、試した。
1.勤務時間の変更
日本との時差を合わせるために、勤務時間を15:00-24:00(日本時間03:00-12:00)
ころにしてみた。弊社では日本時間10:00に軽いタスク確認の定例があるのだが、それには基本的には参加するようにした。
また、その時間帯は日本では日付が変わっているので、ブラジル時間で火曜日-土曜日
に勤務するようにした。ややこしいので、3週間分の日本時間とブラジル時間での勤務日と時間は共有してある。今回は、2カ国の時差計算だけで済んだが、もっと国が多くなればいろいろなツールがあるみたいなので、使ってみるのもおもしろいかもしれない。
実際にやる前は不安だったが、僕は割と夜型なので、生活リズムを変えることに対するストレスはほぼなかった。むしろ、日中でかけられて、そのまま仕事をするため、ぐっすりと眠れていたような気がする。睡眠時間も01:00-08:30
くらいで、日本にいる時よりも規則正しい生活ができた。
ブラジル時間15:00-8:00
くらいは、ほとんど勤務中の人もおらず、どちらにせよ非同期勤務になるため、慣れてきた頃は、ブラジル時間09:00-16:00(非同期)
とブラジル時間22:00-24:00(同期)
くらい(実働8h)で調整する日もあった。
2.日報の義務化
日報を義務化した。弊社では、こちらの記事のような感じで、各人がtimes_xxx
チャンネルを持っていて、僕の場合times_okp
チャンネルで日報を報告した(なあなあになってしまった日もあったのはよくなかった...)。
日報は業務開始時と終了時にあげていて、テンプレートはこちらを参考に以下の様なものを作成した。
# 業務開始時
## 今日やること
## 気になっていること・困っていること
## その他
### 共有事項・ふりかえり・雑感・自画自賛など
# 業務終了時
## 今日やったこと
## 明日やること
## 気になっていること・困っていること
## その他
### 共有事項・ふりかえり・雑感・自画自賛など
今日やったこと
明日やること
はいうまでもないが、特に重要だなと思ったのが気になっていること・困っていること
だった。記事でも述べられているが、困っていることを共有しておくと、問題が大きくなる前に対処できて、例えば、ブラジル時間で寝ている間に答えを頂けたりする。また、その他
では、勤務時間の変更や、体調など、個人的なことをかいたりした。
3.複数タスクを保持
こちらを参考に、タスクの持ち方を工夫した。記事には以下の様なことが書いてあった。
数日かかる大きなタスクの他に、半日かかるいくつかのタスクを持つようにする。それによって、快調に仕事が進んでしまった場合や、問題が起きて相談相手がいない場合も、1つのタスクを一旦停止して、別のタスクに手を付けることが可能になる。
念のため最初からそのようなタスクの振り方をお願いしていたが、これは作業をすすめるほど、ああ、こういうことか...
と妙に納得感が高かった。
例えば、
普段であれば、些細な事でも「これで問題ありませんか?」「この続きからやれば良いですよね?」と Slack で確認をしながら作業を進めることができますが、一人で作業をしているとそれができなくなります。
などはまさにそうで、予め確認しとけば非同期とか余裕っしょ
とか思っていたが、些細な事で作業がストップしてしまうことは往々にしてあった。よって、メインのタスク以外にも、細かなものがいくつかあると、片付けやすい。
これに関しては、プロジェクト的なところでたまたまライトなタスクが多かったというのと、振り方をいろいろ考えて協力して頂いたのもやりやすさに大きく影響したと思う。
4.ステータスの明確化
こちらを参考に、勤務状況、食事、睡眠などのステータスをtimes_xxxチャンネル
で明らかにするつもりだった。
しかし、これは日報によって役割を担えるな、と感じたのと、誰もいないSlackでひとり呟き続けるのも...という気分になったので、非同期ワークにおいて、そこまで分報
の重要度は高くないかなと感じた。
5.MTGへの参加
定例ではないが、マンツーマンミーティング や読書会、業務関係のMTGなどが夕方にある日がある。結論からいうと、これらは(自分が必要なMTGを)日本時間で午前中にずらしてもらうことで対応して頂いた...。
想定としては、MTGがある日は、ブラジルでの起床時間を04:00(日本時間16:00)
などに早めて参加しようと考えていて、一度だけ参加してみたが、かなり厳しいということがわかった...。朝早いのもあるが、寝起きで頭がまわらない状態でMTGするのは、当たり前だが無謀だと感じたw。こちらは臨機応変に対応するしかないのかもしれない。
防犯対策
ブラジルは治安が悪く、被害にあうと業務にも影響が出るので対策をした。といっても、そこまで萎縮するほどではないというか、実際に現地に行くと案外普通な印象をうけた。やったこととしては基本的なことで、↓に書き出してみた。
- 基本的に夜は一人で外出しない。
- PCなどは本当に必要なとき以外持ち歩かない。
- バッグは前側に持ち、手をかけておく。ポッケに入れられるならその方がいい。
- 道でスマホを絶対にいじらない(Google Mapもみない、Pokemon GOもしない)。いじるなら一旦店の中などにはいるか、十分警戒したうえで両手でスマホをガッチリとおさえる。
- オリンピックのイベントがある場所などは逆に安全。空港以上のセキュリティが敷かれている。
- 危険なエリアには立ち寄らない
- セントロの郊外
- ファベーラ全般
ブラジルは治安が悪いとはいえ、リオは普通に都会人がたくさんいるので、現地の人が気をつけていることをしていればある程度の軽犯罪は防げるのかなという気がした。逆に、上記を守らないのは、ブラジル人でも怖がることなので、最低限のルールとして覚えていたほうがいいかもしれない。また、より長期で滞在すると違った対策も必要になってくるのかなと思った。
感想
時差のあるリモートワークをするのは、準備をすれば難しくはないと思うが、ノウハウが必要なので、それを試したり協力したりする環境がないとできないのかなと感じた。今回は、非同期勤務の実験的なところもあって、時差があってもきちんと仕事が回るのかというのを試し、今後、タイムゾーンの異なる国で働く仕組みを考えるという目論見もあった。故に、こういったリモートワークの経験は、手法としてシェアされるべきかなと思う。個人的にはかなりストレスフリーで仕事ができたので満足できた。何かの参考になると嬉しい。
参考
- 日本のチームとリモートワークをした話@シリコンバレー
- Mackerelチームのリモートワーク体制における日報とデイリースクラム - Hatena Developer Blog
- リモートワークでの「非同期」の勧め - Qiita
- Slackで簡単に「日報」ならぬ「分報」をチームで実現する3ステップ
- How to Work in Different Timezones - The Ultimate Guide to Remote Work - Zapier