災害対策に利用する Amazon S3 Glacier Deep Archive

MMM Corporation
yassan

大型台風「ハギビス」が発生し、日本各地で大きな被害が出ました。
幸いにわたくし やっさん が住む地域での大きな被害は免れましたが、
浸水による被害を想定して大切なデータが入っているHDDなどは3階に退避しました。

弊社は毎週金曜にLTを行なっており、その際に「大切なデータ」の
バックアップ方法について、弊社MMMのメンバーによる様々な手法を
知る機会がありました。以下のような手法です。

  • Google Photoへのアップロード
  • iCloud 追加ストレージの利用
  • OneDriveの利用
  • BackBlazeの利用
  • Amazon Glacierへのアーカイブ

私はMMMのメンバーの中でもレガシーな方で、
複数の外付けHDDとブルーレイディスクに保管しています。
これでは、もし家が完全に潰れるような事態が起きた場合に
全て損失してしまう可能性があります。

できれば地理的に離れた場所に保管したいところです。

今回は、 Amazon S3 Glacier Deep Archive を利用することにしました。
AWSエンジニアらしい感じですね!
Amazon S3 Glacier Deep Archive の特徴やコストについて紹介します。
AWSがあまり教えてくれない知識に偏って紹介します!


Amazon S3 Glacier Deep Archiveの特徴

1. 圧倒的に安価なストレージ単価

S3ストレージクラスのGB単価を一覧で比較してみましょう。
圧倒的なコスパをご覧ください。 東京リージョンの単価です。

ストレージクラス 単価(GB)※
S3 標準ストレージ(最初の 50 TB/月) 0.025USD/GB
S3 標準 – 低頻度アクセス (S3 標準 – IA) ストレージ 0.019USD/GB
S3 1 ゾーン – 低頻度アクセス (S3 1 ゾーン – IA) ストレージ 0.0152USD/GB
S3 Glacier ストレージ 0.005USD/GB
S3 Glacier Deep Archive ストレージ 0.002USD/GB
※2019年10月20日時点

例えば1TBを利用するとして ...

ストレージクラス 利用料金※
S3 標準ストレージ(最初の 50 TB/月) 25USD/月
S3 Glacier ストレージ 5USD/月
S3 Glacier Deep Archive ストレージ 2USD/月
※2019年10月20日時点

月2ドル で大切なデータがバックアップ出来ます。年額でも 24ドル
たった 月2ドル でディザスタリカバリーのためのストレージが手に入るなら
安いものです。

2. S3のストレージクラスの一つ

Amazon S3 Glacier Deep Archiveは、
あくまで数あるS3のストレージクラスの一つという位置付けです。

これがどういうことかと言いますと、
(2019年10月20日時点では)Glacier Deep Archiveには
VaultArchive ID の概念はありません。
Vault 作成時に Deep Archive を指定することも出来ません。

3. Glacier から Glacier へのクロスリージョンレプリケーションは出来ない

S3のストレージクラスの一つということは、
クロスリージョンレプリケーションに期待したいところなのですが...

S3 標準ストレージからクロスリージョンのGlacierに レプリケーションすることは
可能です。しかしながら、 GlacierからクロスリージョンのGlacierに
レプリケーションすることは、(2019年10月20日時点では)出来ません。

4. 複数ファイルをアーカイブする時の利便性

Amazon S3 Glacier Deep ArchiveはS3 APIから利用可能ではありますが、
sync などの一部のS3高レベルコマンドは
(2019年10月20日時点では)利用できません。
よって、AWS CLIなどのAPI経由でのアーカイブは単一ファイルの
アーカイブを繰り返すことが必要であり若干不便です。

複数ファイルの一括アーカイブは、
当面は マネージメントコンソール を利用しましょう。


以上の特徴から災害対策に利用する上での利便性という意味で
少し夢打ち砕かれた感がありますが、
早速マネージメントコンソールから
Amazon S3 Glacier Deep Archiveを利用してみましょう!

Amazon S3 Glacier Deep Archiveを試す

1. アップロードファイルの選択

今回は一つのファイルをアップロードしましたが、この画面で
複数ファイルをまとめて選択することが可能です。

2. ストレージクラスの選択

ストレージクラスの「Glacier Deep Archive」を選択します。

3. アップロードの実行

以下の画像の通り、ストレージクラスが Glacier Deep Archive
表示されていることを確認出来ました。簡単ですね!

このように、簡単にGlacier Deep Archiveを利用することが可能です。
次にGlacier Deep Archiveを利用する上での些細なコスト節約を考えていきます。


Amazon S3 Glacier Deep Archiveの些細なコスト節約方法

地理的に離れたリージョンに直接アーカイブする

ライフサイクル移行リクエスト料金に気をつける必要があります。

個人利用であれば、最初から災害対策リージョンに
アップロードすればよいと思います。

(災害対策リージョンで全AZ損失が起きたらアレですが、
日本よりは安全だと思います。)


私は早速、全ての大切なデータ(462GB)のバックアップを
Amazon S3 Glacier Deep Archiveに移行します!

お子さんやご家族の写真をたくさんお持ちの方や、
無圧縮で大切にバックアップしたい方に本記事が参考になれば幸いです。

AUTHOR
Yasuyuki Sato
Yasuyuki Sato
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